「発達障害」と言いたがる人たち

本書の著者は香山リカさん。

テレビなどでもよくお見かけしますが、正直言うとこれまでの彼女のイメージはそれほど良くありませんでした。

でも、今回はタイトルが気になって即購入です。

タイトルの人、たしかに多なっとる気がするな……

発達障害という診断を求める

「私は発達障害かも」と思う人が増えているという、医療の問題というより社会的な現象について取り上げ、その原因などを考えてみたい、というのが本書の目的だ。(本文より)


発達障害を求めるってどゆこと!?

世の中には「あなたは発達障害なんです」と言いわれたがる人がいるらしい。
まったくそうではない人たちが、です。

これについては長男が発達障害者なので関連ニュースや書籍に目を通すことが多いからかも知れませんが、私も強くそう感じます。

社会的に使い勝手の良いキーワードになりつつあるんじゃないでしょうか。

発達障害がなにか特別な存在であることをアピールするためだとか、単なる性格や言動の欠点を理由づけてくれるものとして 利用されている気がするのです。

たとえば「よく遅刻する」「要領が悪い」などの欠点があれば、本来ならそれを改善したり補う努力をすべきです。

ところが「これは発達障害だからしかたない」と、自分に言い聞かせてあきらめる理由として悪用する人もいるのです。

著者は「そんなものなくたって、誰だって世界に二人といない自分なんですよー」と教えてくれています。

ですが欠点をどうしようもない病気なんだと説明してくれるのなら、それに頼ってしまう弱さを誰もが持っているんじゃないでしょうか。

発達障害と呼ばれる人が多い理由

その最大の要因は、「これまでそう診断されずにいた人まで、クリニックなどを訪問して診断を受けるようになったから」であろう。

あ。確かに増えとる気がする!

確かに発達障害という言葉や存在に触れる機会は、以前より確実に増えていると思います。

これは私が長男の発達障害にかかわるようになり、関係するものが自然と目に入るようになったからだけではありません。

その理由として、診断を受ける子供たちの増加が大きいのです。

私が長男を病院に連れて行こうと決めたのは、実は事前に発達障害の知識があったからです。

現代はインターネットの普及やメディアからの提供など、昔と比べて情報量が格段に違っています。

周囲の子どもとの成長の差や我が子の違和感を覚えたら、すぐに調べたりできる環境にあります。

それがなかったら私も診断を受けることさえ考えなかったかも知れません。

しかも時代の流れに伴って、昔はちょっと変わった子程度の認識だったのが、今じゃ簡単に発達障害の診断が下されてしまうこともあります。

そういうお医者さんがいるのも事実です。

発達障害を悪用するトレンド

「何者かでいたい」という私たちの欲望は、とくにこの現代社会、根深くてキリがない。

悪用は許されへんわ

強すぎる個性を持つタレントや、ストイックなまでに自らを追い込んで結果を出すアスリートたちなどが、なんの根拠もなく「発達障害者」としてグループ分けされることもあります。

当然ですが彼らにはその結果の裏に、血のにじむような努力や想像を絶する苦労が存在します。

ですから私たちがそういった注目度の高い存在になりたいと思っても、なかなか簡単にはいきません。

ではどうするのか。

一部の人は「発達障害」という特性のおかげだと理由づけするのです。

もっとひどい例もあります。

最近特に目にするのは、無差別殺人などの世間を騒がせる猟奇的犯罪者がニュースで取り上げられた時ですね。

動機探しに利用されるのです。

つまり一般人には理解しがたいものを、納得させるためのキーワードとして利用されていることも多いのです。

しかもこちらはどちらかというと、悪意のある使い方が目立ちます。

一風変わった特徴だけをからかって「自閉症だ」「アスペだろ」とまくし立てる……本当に気分の良いものではないですよね。

【まとめ】生きづらさを抱えた人たちにとって

冒頭のような人たちではなく、本当に生まれつき脳に機能的な障害を抱え、それにふさわしい支援が必要だったりする人は間違いなく存在します。

私も自閉症スペクトラムの長男が生まれてからこれまで、今の社会では生きづらさを感じざるを得ない多くの人たちを見てきました。

そういった人たちにまで悪意のある被害が及ぶことのないように、この社会現象を取り上げたことがまず素晴らしい。

また発達障害を取り上げるにあたって、これまであまり表沙汰にされることのなかった「ある業界の聖域」にまで踏み込んで語っている著者に敬意を表したいと思います。

最後まで読んでもろてホンマおおきにやで!

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