「忙しくて、なかなか睡眠時間が確保できない」
「ちゃんと眠っているはずなのに、頭がぼーっとしている」
「最近疲れやすく、テンションも上がらない」
こんな症状に悩まされている人は、いちど自分の睡眠内容を見直してみてはいかがでしょうか。
睡眠にかかわる問題は、寝る時間の量を増やしても解決しません。
質のいい睡眠こそが、最高の睡眠なんです。
この記事ではスタンフォード大学で睡眠生体リズム研究所(SCNラボ)の所長をつとめる、西野精治さんが書いた『スタンフォード式 最高の睡眠』を読んで、質のいい睡眠をとるためのエッセンスをまとめました。
実際にわたし自身も取り組んで、以前にうつから起きる睡眠障害を改善できたり、これまでできなかった早朝活動ができるようになっています。
ぜひこの記事を参考にして、見ちがえるほどのパフォーマンスを発揮できるようになりましょう!
目次
睡眠負債とは

「睡眠負債」とは、睡眠時間が足りないことによって、簡単には解決しない深刻なマイナス要因が積み重なっていくという意味を含んでいる。
本文27ページより
睡眠負債とは、カンタンにいうと「眠りの借金」のことです。
つまり睡眠不足がたまって、知らないあいだに脳とからだにダメージをもたらす状態を、睡眠学者などはこう呼ぶんだそうです。
最近ではメディアでも取り上げられ、2017年のユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされたことで、耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。
とくに日本は、世界各国と比べても平均睡眠時間が短く、睡眠負債を抱えている人口が圧倒的に多いといわれています。
本でも調査結果が紹介されていましたが、わたしも最新のデータを調べてみましたら、驚くべき結果が公開されていました。
アメリカ人の平均睡眠時間:528分
フランス人の平均睡眠時間:513分
中国人の平均睡眠時間:542分
日本人の平均睡眠時間:442分
どの国もみんな500分を超えるなか、日本はなんと1時間以上も睡眠時間が短いのです。
しかも日本国内でみても、40代男女の半数以上が「睡眠時間が6時間未満」と解答しているとの結果も出ていました。
参考 40代の半数、睡眠時間は6時間未満 : OECD調査でも世界最短水準nippon.comこれでは日本は「睡眠不足大国」と呼ばれてもおかしくありませんよね。
そしてさらにやっかいなのは、睡眠負債はなかなか返せないものだということ。

週末の寝だめくらいでは効果あらへんで!
最低限の睡眠時間はもちろんですが、睡眠を時間でコントロールするのではなく、根本的な「質のいい睡眠」への改善が必要不可欠なのです。
質のいい睡眠をとる究極の方法「黄金の90分」の法則

どんなに忙しくて時間がなくても、「最初の90分」をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれるといっていい。
本文10ページより
つまり睡眠の質を最大限まで高めるには、いかに眠り始めの90分にこだわるかなのです。
じつは寝ついてから、この90分間で最初におとずれるのがノンレム睡眠で、睡眠全体のなかでいちばんで眠りの深い時間となります。
この最初のいちばん深いノンレム睡眠でしっかり眠ることができれば、脳とからだは最高の状態をつくり出すことができるのです。
そしてそのあとに浅い眠りのレム睡眠がやってきて、この「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」をくり返しながら目覚めに向かいます。
ではなぜ最初のノンレム睡眠である90分間が、質のいい睡眠のカギを握っているのかというと、以下のようなメリットがあるからなのです。
①交感神経と副交感神経の活動の交代が始まる。
②グロースホルモンがもっとも多く分泌される。
③脳のコンディションを整えるはたらきがある。
①は自律神経の交代がスムーズに進むと、脳とからだはしっかり休息をとることができます。
自律神経の乱れをただすことで、からだや心の不調を取りのぞくことができるのです。
②のグロースホルモンは成長ホルモンと呼ばれ、おとなの細胞の成長や新陳代謝の促進の役割も果たすので、アンチエイジングに効果があるともいわれています。
③は睡眠そのものに脳の老廃物を洗い流すはたらきがあり、また入眠直後には記憶の定着だけでなく、イヤな記憶を消してしまうという研究報告もあるそうです。
睡眠サイクルが整えば、脳のコンディションもよくなるんですね。
この「黄金の90分」で得られるメリットはとてつもなく大きいのです。
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質のいい睡眠をとるために必要なのは「体温」と「光」をコントロールすることだけ!

睡眠(寝ている時間)と覚醒(起きている時間)は2つで1つ。私はそう考えている。良い睡眠がなければ良い覚醒はなく、良い覚醒によって良い睡眠も得られるのだ。
本文51ページ
では「黄金の90分」をふくむ質のいい睡眠をとるために、必要なポイントとはなんでしょうか。
それは「体温」と「光」です。
この2つをコントロールして睡眠と覚醒を改善することができれば、脳がクリアになって仕事や家事がはかどり、心身とも健康な状態を保つことができるのです。
それぞれの理由と具体的な事例を交えて、詳しい説明をみていきましょう。
「体温」をコントロールして、質のいい睡眠をとる方法

まず睡眠には、体温の低下が欠かせません。
人間の内部体温は、眠っているときより起きているときのほうが高くなります。
そしてその内部体温を下げるために、手足の皮ふから熱を放射するんです。

赤ちゃんが眠くなると、手足あったかくなるんはそれでか!
つまり内部の体温と皮ふの温度の差が小さくなるほど、スムーズに眠りに入ることができるということなんですね。
ただし単純に体温のみを下げればいい、ということではないことに注目してください。
皮ふ温度との差がポイントです。
では体温を調節して睡眠の効果を最大限に生かすには、どんな方法があるのでしょうか。
入浴
ひとつめの方法は「入浴」です。
しかも「寝る90分前」に入浴をすませるのが重要です。
人間の体温や皮ふ温度は、そうカンタンに大きく変わったりしませんよね。
でも入浴によって体温が一時的に上がると、上がったぶんだけ下がろうとする作用がはたらくので、その差が大きくなってぐっすり眠れるようになるのです。
40度くらいのお風呂に、15分程度つかるのがもっともおすすめです。
そうすれば90分くらいで、ちょうど寝るタイミングになります。
忙しくてシャワー派の人は、寝るまでの時間を調節してください。
室温
2つめは「寝室の室温にこだわる」ことです。
室温が高すぎるとたくさん汗をかくので、熱が発散されて体温が下がりすぎてしまうのです。
逆に室温が低すぎると血行が悪くなって、熱の発散もされなくて眠りにくくなってしまいます。
適温には個人差があるので、自分に適した室温を把握して整えておきましょう。
寝具
掛け布団より敷き布団のほうが、材質によるちがいは大きいようです。
実力のあるアスリートたちほど質のいい睡眠を求めるため、マットレスの材質やかたさにまで自分の好みがあります。
ここぞというときに最高のパフォーマンスを発揮しないといけない、トップアスリートならではのこだわりです。

企業で戦うビジネスパーソンも同じや!
ちなみ体重が重くてがっちりした体型の人ほど、かためのものを選ぶ傾向があるそうです。
また脳を休めるには温度を下げたほうがいいので、通気性のいい「そば殻まくら」なども有効のようですよ。
「光」をコントロールして、質のいい睡眠をとる方法

人間は24.2時間で1周する「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれる体内時計を持っています。
このリズムは1日24時間の地球のリズムと同じではないので、日中はセロトニン、夜中はメラトニンという体内ホルモンなどを生み出して、少しずつ調整しながら食事や睡眠などの生活パターンを合わせているんですね。
そのきっかけになるのが、じつは「光」なんです。
ですから光の刺激がないと、ホルモンのはたらきはもちろん目覚めの質も悪くなって、自律神経や脳に悪い影響を与えてしまうようになるのです。
また逆に、光の刺激でスムーズな入眠がジャマされる場合もありますので、こちらも注意が必要です。
では光をコントロールするために、気をつけるべきものにはなにがあるでしょうか。
カーテン
朝は天気の良し悪しにかかわらず、かならず太陽の光を浴びることがいちばん重要です。
そのため遮光カーテンではなく、厚めでも光を通すような生地のカーテンがいい目覚めには最適です。
ただ寝るときに真っ暗な部屋で眠りやすくしたいのであれば、遮光カーテンを使っても朝の光が入ってくるように、少し開けておくなどの工夫が必要ですね。
ブルーライト
睡眠に影響を与える明かりといえば、すぐにブルーライトが頭に浮かびます。
人間の目がブルーライトのような470ナノメーターの波長の光を感知すると、メラトニンの分泌がおさえられて、眠りをジャマされるのがわかっています。
ですが寝る前のスマホやパソコンが睡眠に影響を与えるのは、その程度のブルーライトよりも、むしろその操作やゲームなどに興奮するからだと言えるんです。
とはいえ布団に入ってから真っ暗な部屋でスマホを長時間見るなどの行動は、質のいい睡眠のためにもやめておいたほうがいいでしょう。
照明
「夜間の豆電球程度の明かりが、肥満や脂質代謝異常のリスクも増やす」という、なんともおそろしい結果発表もあるそうです。
ただ真っ暗にすればいいというものではなく、暗闇をこわがる子どももいますから、そこまで神経質にならなくてもよいのではないでしょうか。

なにも見えないと危険やしな。
寝る前は少し暗めで、暖色系のあかりに切り替えるといいですね。
しかも最近の照明業界は、めざましい進化をとげています。
朝をむかえるのと同時に、設定した時間にすこしずつオレンジから白に色が変わる照明器具などが発売されているようです。
また音ではなく、強烈な光の目覚まし時計によってスッキリ起きれるというものまであるんですって。
質のいい睡眠をとるための、こだわりの工夫が感じ取れますね。
質のいい睡眠を取ることで得られるもの

人生のおよそ1/3を占めるのが睡眠時間です。
この睡眠を質のいいものに変えてぐっすり眠ることで、わたしたちの脳やからだには驚くべき変化があらわれます。
①頭がさえて素晴らしいアイデアがあふれ出てくる。
②集中力がとぎれない。
③体調もよく、疲れ知らず。
④ホルモンのバランスがとれ、心の健康にもつながる。
このようなコンディションを維持することができれば、まちがいなく素晴らしい毎日をすごすことができるようになるでしょう!
そのためには難しいことはひとつもありません。
正しい睡眠の知識を得て、ふだんの生活のなかで「体温」と「光」のコントロールに気を配るだけです。
できること今日から実践して、睡眠を人生の楽しみのひとつにしてしまいましょう!

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